歯の健康は全身の健康と密接に関係しています。歯が抜けると食事の楽しみや発音に影響を与えるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。今回は、大人が歯を失う主な原因と、その平均年齢について詳しく解説します。
目次
■大人の歯が抜ける主な原因
◎歯周病
歯周病は、歯を支える組織(歯肉や骨)が炎症を起こす病気です。初期段階では歯肉炎として現れ、歯茎が赤く腫れ、出血しやすくなります。進行すると、歯を支えている歯槽骨が破壊されて歯が揺れ始め、最終的には抜けてしまうことがあります。歯周病は、歯が抜ける原因の約70%を占めると言われています。特に40歳以上の成人に多く見られ、適切なケアが欠かせません。
◎むし歯
むし歯もまた、歯の喪失の大きな原因です。むし歯が進行すると、歯の内部の神経に達し、痛みや炎症を引き起こします。神経がダメージを受けると歯は脆弱になり、最終的には抜ける可能性があります。特に放置されたむし歯は、歯の構造全体に影響を与え、歯が折れたり割れたりする破折や、感染のリスクを高めます。
◎外傷
事故やスポーツによる外傷も歯を失う原因となります。特に前歯は、転倒やぶつかった際に直接衝撃を受けやすく、折れたり抜けたりすることがあります。歯の外傷は見た目にも影響が大きく、適切な治療が必要です。
◎全身的な健康状態
全身の健康状態も歯の健康に影響を与えます。例えば、糖尿病は歯周病のリスクを高める要因の一つです。また、免疫力の低下や栄養不足になると歯周病が進行し、歯を失うリスクを高めます。健康管理と口腔ケアは一体的に考える必要があります。
■歯が抜ける平均年齢と本数
日本における歯の喪失のデータによると、成人が歯を失い始めるのは一般的に40代からとされています。40代で約1.5本、50代で約2.5本、60代で約3本、70代で約8本の歯を失うと言われています。これらの数字は、加齢とともに歯の喪失が進行することを示しており、80歳までに半数以上の歯が失われる可能性があります。
(※)令和4年 歯科疾患実態調査結果より
■年齢別に見た歯の喪失の進行
◎40代
この年代では主にむし歯による歯の喪失が見られます。若い頃のケア不足や不規則な生活習慣が影響しやすい時期です。
◎50代
歯周病の進行が顕著になり、歯肉の後退や歯の揺れが目立つようになります。また、噛み合わせの問題も発生しやすくなります。
◎60代
この年代では、既に失った歯が原因でさらに歯が抜けるという悪循環が起こりやすくなります。部分入れ歯やブリッジの使用が一般的になります。
◎70代以降
歯の喪失が急速に進行し、残った歯の数も大幅に減少します。このため、総入れ歯やインプラントが必要になるケースが増えます。
【自分の歯で食事を美味しく食べ続けるには定期検診へ】
歯の健康は一生涯にわたって重要です。適切なケアと予防で、歯を失うリスクを大幅に減らすことができます。年齢を重ねても自分の歯で食事を楽しむためには、日々の口腔ケアと定期的な歯科検診が欠かせません。口内環境は一人一人違います。自分は大丈夫と過信せずにまずは定期検診を受診しましょう。