「最近、歯がグラグラしている気がする…」
「歯ぐきがやせてきて、歯が長く見える…」
もしかすると、それは歯周病のサインかもしれません。
中でも「重度の歯周病」は、歯を失う最大の原因とされており、40代以降の多くの方に関係する病気です。
しかも、痛みがないまま進行するため、自覚したときにはすでに「歯が抜けそう」という状態も少なくありません。
今回は、重度の歯周病で見逃してはいけない症状と、進行した場合にどう治療していくのかについて、詳しくご紹介します。
目次
■歯周病とは?
歯周病は、歯のまわりの組織(歯ぐき・歯を支える骨など)に起こる炎症性疾患です。
初期の「歯肉炎」の段階では、歯ぐきの腫れや出血だけですが、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまう「歯周炎」に。
そして歯槽骨の吸収が進行して支えを失った状態が「重度の歯周病」です。
■重度の歯周病で現れる主な症状
以下のような症状が出ている場合、すでに歯周病がかなり進行している可能性があります。
◎歯がグラグラする
重度になると、歯の支えとなる骨が大きく失われ、歯が揺れるようになります。
これは「もう抜けそう…」と感じるレベルになることも。
◎歯ぐきが下がって、歯が長く見える
歯ぐきや骨が下がることで、歯の根元が露出し、見た目にも変化が現れます。
知覚過敏の症状が出る方も多くなります。
◎歯ぐきから膿が出る、口臭が強くなる
歯周ポケットの奥で細菌が増殖し、慢性的な炎症が起きると膿が出ることも。
独特の強い口臭が出るケースもあり、悪化する前に、歯科でのチェックを受けることをおすすめします。
◎噛むと痛い、違和感がある
歯を支える組織が不安定になり、噛み合わせの圧力に耐えられずに痛みや違和感を覚えることがあります。
■重度の歯周病の進行で起こること
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歯の移動・すき間が広がる
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歯並びや噛み合わせのバランスが崩れる
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複数本が一気に抜けるケースもある
重度の段階まで放置してしまうと、周囲の健康な歯にも影響を及ぼすことがあり、ドミノ倒しのように歯を失ってしまう可能性があります。
■歯周病で歯が抜ける前に、早めの受診が大切
重度の歯周病になると、治療に時間も費用もかかるだけでなく、歯の保存が難しくなる可能性も高くなります。
ですが、早期に気づいて対処すれば、歯を残せる可能性も十分にあります。
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「最近歯ぐきが下がった気がする」
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「噛んだときに違和感がある」
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「家族に口臭を指摘された」
こうしたちょっとした変化こそが、歯周病のサインかもしれません。
■重度の歯周病に対する治療法
状態に応じて、以下のような治療が検討されます。
◎スケーリング・ルートプレーニング(SRP)
歯周ポケット内の歯石や汚れを徹底的に除去し、炎症の改善を図る処置。
初期~中等度の歯周炎で有効ですが、重度の場合でも第一歩として行われます。
◎歯周外科治療
歯ぐきを切開して、歯の根っこ部分にある歯石や感染組織を除去する手術。
歯周ポケットを浅くし、細菌の温床を除去することが目的です。
◎薬の服用
当院では、薬の服用をご案内する場合があります。歯周病菌に対して効果のある薬を服用することで、炎症を起こしている歯ぐきの改善を目指します。
◎ 再生療法(条件付き)
一部の症例では、歯槽骨や歯周組織の再生を促す治療(エムドゲインやGTR法など)が可能な場合もあります。
◎ 抜歯と補綴(入れ歯・ブリッジ・インプラント)
歯がぐらつきすぎて日常生活に支障が出る場合、抜歯をして、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどの補綴治療を検討することもあります。
【「歯が抜ける前」に気づいて行動を】
歯周病は静かに進行する病気です。
重度になると、見た目の変化や機能の低下だけでなく、生活の質(QOL)にも大きく影響を与えます。初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうこともあります。
少しでも違和感があれば、できるだけ早めに歯科医院で診てもらうことが大切です。早期発見・早期治療によって、ご自身の歯を守ることにつながります。