
「毎日歯磨きしているのに、なんとなく口臭が気になる…」
「定期的にクリーニングも受けているのに、原因がわからない…」
そんな時、もしかすると原因は古い詰め物や被せ物の劣化かもしれません。実は、歯科治療で使われる詰め物・被せ物(補綴物)は、精度が低かったり、時間の経過とともに隙間ができたりすることで、細菌の温床になりやすく、口臭の原因になることがあります。
今回は、口臭と詰め物・被せ物の意外な関係、そして精密な治療の重要性を解説します。
目次
■詰め物・被せ物と口臭の関係
詰め物や被せ物は、むし歯治療のあとの歯を保護する目的で装着されますが、その「適合の良し悪し」が、実は口腔内の衛生状態に大きく関わっています。
精度の低い詰め物・被せ物(補綴物)や、経年劣化したまま使い続けている場合、次のような問題が起こりやすくなります。
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歯と補綴物の間に隙間ができる
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段差やざらつきに歯垢(プラーク)がたまりやすい
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歯ぐきとの境目に炎症が起きる
このような状態が続くと、細菌が繁殖し、いやな臭いのもとになる揮発性硫黄化合物(VSC)などを発生させます。これが口臭の正体のひとつです。
■目に見えない「わずかなズレ」が口臭を招く?
被せ物や詰め物が、ほんの数十ミクロンでもズレているだけで、汚れがたまりやすくなることがあります。
とくに奥歯は自分でも見えにくく、磨き残しや異変に気づきにくいため、口臭が長期間気づかれないままになっているケースも。
また、過去に装着された補綴物が経年劣化して「浮いて」きたり、セメントが溶け出したりしても、目では確認しづらい微細な隙間ができてしまいます。
そこに汚れが入り込み、むし歯や歯周病のリスクを高めると同時に、口臭も悪化していきます。
■精密な詰め物・被せ物の作製で「ニオイのもと」を断つ
こうしたトラブルを防ぐには、歯と補綴物がぴったり合っていること(適合精度)が大前提です。
そのためには、高精度な型取り・技工物の設計・仕上げが欠かせません。
当院では、院内に専用の技工室を併設しており、歯科医師と技工士が密に連携を取りながら、よりフィット感の高い補綴物を作製しています。
▶︎ 詳しくは こちらの記事「院内技工室の役割とメリット」 でも解説しています。
院内技工の強みは、ただスピードが早いだけではありません。患者様の口腔内のわずかな癖やかみ合わせまで見た上で、その場で調整・再確認ができるため、より正確でトラブルの少ない治療が可能になるのです。
■「匂いが気になる」は見えないサインかも
口臭は、他人から指摘されるまで気づきにくいもの。ですが、匂いが強くなる原因の多くは、お口の中にあります。
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歯ぐきの腫れや出血がある
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食べ物が詰まりやすい部位がある
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補綴物の周囲に違和感がある
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舌が白くなっている
こうしたサインがある場合、詰め物・被せ物の精度や状態を一度見直してみるのも一つの方法です。
【「ニオイ」まで考える精密な治療を】
口臭の原因はさまざまですが、詰め物・被せ物の精度や劣化も見逃せないポイントです。保険診療でつくられた補綴物は、素材の特性上、耐久性や適合性の面で自費診療のものと違いが出ることがあります。
「歯は問題ないはずだけど、なんとなく気になる…」
そんなときは、ぜひ一度、口臭の原因になっているかもしれない補綴物をチェックしましょう。場合によっては自然な見た目と機能性の両面を兼ね備えたセラミック治療をご案内することもあります。まずは一度、ご相談ください。
