今回はインプラントの構造と仕組みについて詳しく解説したいと思います。インプラントは、どのような部品でできているのでしょうか?また、どのような仕組みで骨と結合するのでしょうか。
■インプラントの構造
インプラントは、大きく分けて3つの部品で構成されています。
◎インプラント体(フィクスチャー)
インプラント体とは、あごの骨に埋め込む人工の歯根のことです。インプラント体は、チタンやジルコニアなどの生体親和性の高い素材でできており、ネジのような形をしています。
生体親和性とは、人の体に入れても拒絶反応が起こらないという性質のことです。この性質のおかげで、あごの骨としっかりと結合することができます。
インプラント体の表面には、溝や凹凸がつけられていますが、これは骨との結合力を高めるための工夫です。溝や凹凸があると、骨の細胞が入り込みやすくなり、インプラント体と骨が一体化することが促されます。
インプラント体の大きさや形は、歯を失った部分の骨の量や形に合わせて選ばれます。またインプラントは、一本の歯に一本だけでなく、複数の歯に対しても使うことができます。例えば、前歯4本を失った場合には、インプラントブリッジといってインプラント体を2本埋め込んでその間に4本分の上部構造をかけることもできます。
◎アバットメント
インプラント体と上部構造を連結する部品です。金属やセラミックなどの素材でできており、インプラント体の上部にねじ込まれます。歯肉の厚さやインプラントの角度に合わせて、高さや形状が調整されます。
◎上部構造
インプラントの最上部に装着する人工の歯となる部分です。セラミックやレジンなどの素材でできており、自然な見た目と噛み心地で快適な生活を送ることができます。アバットメントにセメントやねじで固定されます。
■インプラントの仕組み
歯を失った部分のあごの骨に穴を開けて、インプラント体を埋め込みます。それからインプラント体があごの骨と結合するまで、約3~6ヵ月ほど待ちます。このとき、インプラント体と骨の間には、骨芽細胞という細胞が入り込んで、骨とインプラント体をくっつける役割を果たします。この現象をオッセオインテグレーションと呼びます。
骨との結合が確認できたら、歯肉を切開して、インプラント体の上にアバットメントをねじ込みます。このとき、歯肉の切開は必要ない場合もあります。
最後に、アバットメントの上に上部構造を装着します。これでインプラント治療は完了です。
【インプラント治療は歯科医師としっかり相談して始めましょう】
インプラントには、噛み心地や見た目の改善、他の歯を削ることなく治療が可能であるといったメリットがありますが、治療費や期間の長さ、手術のリスクや炎症の可能性などのデメリットもあります。インプラント治療をはじめるときは必ず歯科医師とよく相談して、自分にとって最適な治療法なのかを検討することが大切です。