毎日の生活で食事の時以外に噛む力や噛み合わせについて意識したことはありますか?実は食事の時以外にも、噛む力や噛み合わせは全身との関りもあるのです。今回は全身の健康にどのような影響を与えるのかについてお話ししたいと思います。
■ 噛む力とは?
噛む力とは、歯で食べ物を噛むときに発揮される力のことです。一般的に、噛む力は年齢とともに低下していきます。噛む力が低下すると、食べ物を細かく噛めなくなり、消化不良や栄養不足を招く可能性があります。また、噛む力が低下すると、歯や顎の筋肉が衰えていき、顔のたるみやシワの原因になることもあります。
■噛み合わせとは?
噛み合わせとは、上下の歯が噛み合ったときの歯の位置関係のことです。噛み合わせは、歯の形や数、歯並び、顎の骨の形や位置などによって決まります。
◎噛み合わせが安定した状態
・上下の歯が最も多くの部位で接触して安定している
・顎が体の中心に対して前後・左右で正しい位置にある
・顎の運動がスムーズで痛みや音がない
■噛む力・噛み合わせに問題がある場合
噛む力が低下すると、食べ物を十分に噛めなくなり、消化不良や栄養不足を招くことがあります。また、唾液の分泌量も減少し、口腔内の細菌の増殖や虫歯、歯周病のリスクが高まります。
噛み合わせが悪いと、顎関節に過度な負担がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。顎関節症は、口が開けにくい、噛むと痛む、顎がカクカクする、耳鳴りやめまいがするなどの症状をもたらします。また、顎関節は頭蓋骨や首の骨と密接に関係しているため、顎関節のズレや歪みは頭痛や肩こり、姿勢の悪化などにも繋がります。
噛む力や噛み合わせによって、脳への血流や神経伝達物質の分泌にも影響が出ることがあります。噛むことで、脳に酸素や栄養が豊富に運ばれ、脳の活性化や記憶力の向上に役立ちます。また、噛むことで、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が分泌され、気分の安定やストレスの緩和にも効果があります。逆に、噛む力や噛み合わせが悪いと、脳への血流が低下し、脳の機能が低下したり、うつ病や認知症の原因になったりすることもあります。
◎噛む力を高める方法
・硬いものや食感のあるものを積極的に食べる
・歯ブラシや歯間ブラシなどで歯や歯茎のマッサージをする
・ガムや口腔体操などで顎の筋肉を鍛える
・歯科医師に定期的に歯の健康状態をチェックしてもらう
◎噛み合わせを整える方法
・歯科医院で噛み合わせの診断や治療を受ける
・歯列矯正やインプラントなどの歯科治療を受ける
・噛み癖や歯ぎしりなどの習慣を改善する
・左右均等に噛むことを意識する
【噛み合わせを整えて噛む力を保ちましょう】
「噛む力」「噛み合わせ」は、口腔内だけでなく、全身の健康にも大きな影響を与えます。噛む力や噛み合わせを高めるためには、日頃からよく噛むことや歯のケアを心がけることが大切です。