「親知らずがまだ生えてこないんだけど、大丈夫?」
「レントゲンで“埋まっている”って言われたけど、そのままにしていいの?」
そんな疑問を抱えている方へ。
今回は、親知らずが「埋まっている」「生えてこない」状態とは何なのか?について解説します。
今すぐ抜くべきかどうか、痛みがないなら放置してもいいのか、不安な方はぜひ参考にしてください。
目次
■親知らずとは?
親知らずとは、第三大臼歯とも呼ばれる、奥歯のさらに奥に生えてくる永久歯のこと。
一般的には17〜25歳頃に生えてくることが多く、上・下の左右に1本ずつ、合計4本あるのが基本形です。
ただし、すべての人に4本そろって生えるとは限りません。そもそも1本も存在しない人もいれば、生える途中で止まる人、完全に骨の中に埋まっている人もいます。
■「埋まっている」「生えてこない」親知らずとはどんな状態?
◎骨や歯ぐきの中に埋まっている状態(埋伏歯)
親知らずが骨の中や歯ぐきの下に埋まっている状態を「埋伏(まいふく)歯」と呼びます。
このような歯は、レントゲンを撮らないと位置や向きがわかりません。
まっすぐ生えてくるスペースが足りない場合や、顎の成長が不十分な場合などに多く見られます。
埋伏歯には以下のようなタイプがあります。
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水平埋伏:完全に横向きに埋まっている状態
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半埋伏:歯の一部だけが歯ぐきから見えていて、残りは埋まっている状態
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完全埋伏:歯ぐきや骨に完全に覆われていて、外からは見えない状態
◎親知らずが「存在しない」場合もある
一方で、もともと親知らずが存在しない(先天欠如)ケースもあります。
日本人では、親知らずが1本以上存在しない人の割合は約10~20%程度とも言われています。
※愛知学院大学歯学部
(2004)より引用。
このような場合は、レントゲン撮影によって歯の“もと”である歯胚(しはい)が存在しないことが確認できます。
■生えてこないのは異常? そのままで大丈夫?
生えてこない親知らずが「異常」かというと、必ずしもそうではありません。
実際、親知らずが生えないこと自体にリスクがあるわけではなく、問題は“どのように存在しているか”です。
たとえば、
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斜めに埋まっていて、隣の歯を押している
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歯ぐきの下にあるが、細菌が入りやすく炎症を起こしている
といったケースでは、将来的に痛みや腫れの原因になる可能性があります。
逆に、骨の中に安定して収まっており、周囲にも影響を及ぼしていない場合は、経過観察で様子を見るという判断も一般的です。
■生えてこない人の特徴はある?
親知らずが生えてこない(または存在しない)人には、以下のような傾向があるとされています。
◎顎が小さい
時代の変化とともに顎が小さくなってきた現代人は、親知らずが適切に生えるスペースが確保できないことが多いです。
◎遺伝的要因
両親のどちらか、または両方に親知らずがない場合、子どもも同様になる可能性があります。ただし、これはあくまで傾向であり、誰にでも当てはまるわけではありません。
【親知らずが「埋まっている・生えてこない」=すぐ抜くとは限らない】
親知らずが埋まってる、生えてこないからといって、すぐに治療が必要なわけではありません。レントゲンなどで正確な位置や状態を確認し、「将来問題になりそうかどうか」を判断することが大切です。
痛みや腫れがなければ、経過観察を選ぶことも可能ですし、今後のトラブルを見越して抜歯を選ぶケースもあります。
まずは定期的な検診や画像診断で、ご自身の親知らずがどんな状態にあるのかを正しく把握しておきましょう。