インプラント治療を検討中、または手術を控えている方にとって、「タバコはやめなきゃダメ?」というのは気になるポイントですよね。
さらに近年では、「電子タバコならいいのでは?」という声も多く聞かれます。
今回は、喫煙がインプラント治療に与える影響について、気になるけどなかなか聞けない話を、わかりやすく解説します。
目次
■喫煙がインプラントに与える主な影響
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素などの有害物質は、インプラント治療にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
◎ 骨とインプラントの結合(オッセオインテグレーション)が妨げられる
インプラントは、人工歯根(チタン)を顎の骨に埋入し、その骨としっかりと結合することで安定します。しかし喫煙は、血流を悪化させることで骨の代謝や治癒力を低下させてしまいます。
血液の流れが悪くなると、酸素や栄養が組織に行き届かず、骨の代謝を低下させるため、結合がうまくいかないリスクが上がると考えられています。
◎ 術後の治癒が遅れる
タバコの影響で血流が悪くなると、歯ぐきや粘膜の治りが遅くなり、感染のリスクも上昇していまいます。結果として、傷口のトラブルや痛みの長期化につながることもあります。
◎ インプラント周囲炎のリスクが高まる
「インプラント周囲炎」は、インプラントのまわりの歯ぐきや骨に炎症が起こる状態で、インプラント版の歯周病のようなものです。
放置するとインプラント脱落の原因になるため、喫煙者はインプラント周囲炎のリスクが高いとされています。
■インプラント、電子タバコなら大丈夫?
「紙巻きタバコをやめて電子タバコにしたから安心」と思っている方も多いですが、実はそう単純ではありません。
電子タバコにはたしかにタールが含まれていないものが多い一方で、ニコチンは含まれている製品もあります。ニコチン自体が血流や免疫反応に影響を及ぼすため、完全な無害とは言い切れないのが実情です。
さらに、電子タバコに含まれるその他の成分や吸入時の温度も、口腔粘膜への刺激になる可能性があることが指摘されています。
■インプラント治療での禁煙のタイミングは?
可能であれば、手術の2週間前〜2ヶ月後くらいまでの禁煙を目指すと、治療成功率を高められます。この期間だけでも血流や免疫機能が改善し、術後のトラブルを減らせるという報告もあります。
※V Kasat,R Ladda|Smoking and dental implants
また、インプラントを長くもたせたいという思いが、禁煙を始めるきっかけになる方も多いです。
【治療の成功率を上げるためにできること】
インプラント治療を成功させ、長く安定して使い続けるためには、タバコとの付き合い方も大切なポイントです。
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喫煙はインプラントの成功率や維持にマイナスに働く
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電子タバコも完全に無害とは言いきれない
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短期でも禁煙することで、治癒力や感染リスクを改善できる
「タバコを吸っているからインプラントは無理」と思わず、まずはご自身のライフスタイルと治療のバランスを考えて、歯科医師と相談することが第一歩です。