顎の痛み、口が開けにくい、食事や会話が困難になる。これらは日常生活において突然訪れる不快な症状ですが、実は顎関節症の兆候かもしれません。顎関節症は身近な疾患ですが、適切な対処を行うことで症状の改善が期待できます。顎の健康は、快適な日常生活を送るために欠かせません。
■顎関節症とは何か?
顎関節症は、顎の関節や周囲の筋肉に問題が生じることで、痛みや動きの制限を引き起こす疾患です。顎を動かす際に痛みを感じたり、口が十分に開かなかったり、顎を動かすときに音がするなどの症状が特徴です。
■顎関節症の原因
◎ストレスによる筋肉の緊張
日常生活におけるストレスは、顎の筋肉に過剰な緊張をもたらし、顎関節に負荷をかけることがあります。
◎噛み合わせの問題
噛み合わせが合っていない場合は、顎関節に不均一な力がかかり、関節や筋肉に負担を与えます。これにより、顎関節症の症状が引き起こされることがあります。
◎関節円板の異常
顎関節には、関節円板と呼ばれるクッションの役割を果たす組織があります。この円板がすれたり、摩耗したりすると、顎の動きがスムーズでなくなり、痛みや動きの制限が生じます。
◎姿勢の問題
デスクワークやスマートフォンの使用など、長時間同じ姿勢を続けることは、顎関節に負担をかけることがあります。特に、前かがみの姿勢や頬づえは顎にストレスを与え、顎関節症を引き起こす可能性があります。
◎遺伝的要因
顎関節症は、家族歴がある場合、遺伝的な要因による可能性もあります。顎の形状や関節の構造に個人差があり、これが顎関節症のリスクを高めることがあります。
◎外傷や事故
顎に直接的な衝撃を受けた結果として、顎関節症が発生することがあります。これには、スポーツ中の事故や交通事故などが含まれます。
◎その他の要因
顎関節症は、歯ぎしりや食いしばり、硬い食べ物を食べたなど、他の多くの要因によっても引き起こされることがあります。
■顎関節症の症状
◎顎の痛み
顎を動かすときや、噛むときに顎に痛みを感じます。
◎顎の開閉時に音がする
顎を動かすときにカクカクと音がします。片側だけの場合もあります。
◎口が開けにくい
口を大きく開けることが難しく日常生活に支障が出る場合があります。
■顎関節症の診断
まず症状の発症と変化の経緯を詳しくカウンセリングを行います。次に、顎関節や筋肉、口内の検査を行い、さらにエックス線やCTを用いて骨の異常を調査します。骨以外の問題、つまり関節構造や筋肉の問題についてはMRIを用いることもあります。
また顎関節症が原因である痛みや口の開けにくさは、親知らずの炎症など他の病気でも起こり得るため、これらの症状が他の原因によるものでないことを確認することも重要です。
■顎関節症の治療法
顎関節症の治療法は、症状の重さや原因によって異なりますが、以下のような方法が一般的です。
◎セルフケア
原因がストレスや姿勢など日常生活に起因する場合はストレッチやリラクゼーションを行い、筋肉の緊張を和らげます。
◎マウスピース
マウスピースを使用して噛み合わせを改善し、顎関節への負担を軽減する方法です。
◎薬物療法
痛みや炎症を和らげるための薬を使用する場合もあります。
◎理学療法
マッサージや温熱療法で筋肉をほぐします。
◎外科的治療
重度の場合には、手術による治療が行われることもあります。
【顎関節症には適切な治療が必要です】
顎関節症は、適切な治療を行うことで症状を軽減し、日常生活の質を向上させることができます。症状に心当たりがある場合は、早めに歯科医師に相談しましょう。