「歯を失ったけど、年齢的にインプラントってできるの?」
「若いうちにインプラントにしておいたほうがいい?」
そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
インプラントは、人工の歯根(チタン製)となるパーツを顎の骨に埋め込み、人工歯を装着する治療法です。ブリッジや入れ歯と異なり、自然な見た目としっかり噛める機能性を兼ね備えた選択肢として、年々注目が集まっています。
今回は、「インプラント治療は何歳から可能か?」という素朴な疑問にお答えしながら、年齢による注意点や、おすすめのタイミングについても詳しく解説します。
目次
■インプラントに「年齢制限」はあるの?
まず結論から言うと、明確な年齢制限はありません。
インプラント治療において大切なのは、「年齢」そのものよりも、全身の健康状態と口腔環境(骨や歯ぐきの状態)です。
ただし、以下のような目安があります。
◎【下限】インプラントは何歳から可能?
原則として、骨の成長が終わってからでないとインプラント治療は行えません。成長期が終わる目安が女性は16〜18歳頃、男性は18〜20歳頃。
成長中の段階でインプラントを埋めてしまうと、周囲の骨が成長してもインプラントは動かず、不自然な位置に残ってしまうためです。そのため、20代以降が治療開始の現実的なタイミングといえるでしょう。
◎【上限】高齢でもインプラントはできる?
実は、インプラント治療を受ける人の多くは50代〜70代が中心です。厚生労働省のデータでも、インプラント治療を希望する層は70代が最も多いという報告があります。
80代以上でも治療を受けている方もいますが、高齢になるほど全身疾患や骨の吸収が進行していることが多いため、慎重な診査が必要になります。
糖尿病、骨粗鬆症、心疾患などがある場合は主治医と連携しながら判断します。
■年齢別|インプラント治療のメリット・注意点
◎ 20〜30代:将来を見据えた選択肢
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歯を早くに失った場合、長期間使える治療法としてインプラントは魅力的
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(ブリッジと異なり)健康な隣の歯を削らずに済むため、若い世代にとってメリットが大きい
◎40〜50代:安定した骨量・審美性と機能性の両立
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噛み心地と見た目を両立できるので、仕事や人前に立つ機会が多い方に◎
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骨の状態も比較的安定しており、治療後のトラブルも少ない傾向
◎60〜70代:生活の質(QOL)の向上
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入れ歯が合わない、噛みにくいといった悩みがある方にとって、インプラントは食事の満足度を大きく改善できる
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骨の状態次第で治療可否が変わるため、CT検査などによる精密な診断が必須
■年齢より「状態」が大事。こんな方におすすめ
インプラント治療を検討する際は、年齢だけで判断するのではなく、以下のような条件がそろっているかをチェックしましょう。
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顎の骨に十分な厚みと高さがある
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歯周病が進行していない、または治療済みである
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しっかりメンテナンスに通える意思がある
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全身疾患がコントロールされている
これらを満たしていれば、何歳でもインプラント治療の適応となる可能性があります。
【年齢はひとつの目安。大切なのは「今の状態」】
インプラントは、見た目の美しさ、しっかり噛める機能性、長期的な耐久性の3拍子がそろったメリットの多い治療法です。確かに年齢によってメリットの受け取り方は異なりますが、何歳だからダメ、という明確な線引きはありません。
むしろ、「失った歯をどう補うか」を考えるうえで、インプラントはあらゆる世代に選ばれている選択肢のひとつ。
迷っている方は、まずは歯科医院でご自身の状態をチェックしてもらうことから始めてみてください。