セラミック治療における詰め物や被せ物には、「インレー」「アンレー」「クラウン」という3つの種類があります。これらは、むし歯の進行度や欠損部分の大きさに応じて使い分けられます。今回は、それぞれの特徴や使用範囲、使用される素材について詳しく解説します。
※使用される種類や素材は歯科医院によって異なります。
目次
■詰め物・被せ物の種類①インレー(Inlay)
◎特徴と使用範囲
インレーは、比較的小さなむし歯や歯の欠損部分を修復する際に使用される詰め物です。主に歯の咬合面(噛む面)の溝や、歯と歯の間の小さな欠損部分に適用されます。歯の形状に合わせて精密に作製され、削った部分にぴったりとはめ込まれます。
◎使用される素材
-
セラミック
審美性が高く、天然歯に近い色調を再現できます。また、耐久性や耐摩耗性にも優れています。ジルコニアは特に強度が強く、奥歯に向いています。e-maxは審美性が求められる前歯などで使用されることが多いです。
-
ハイブリッドセラミック
セラミックと樹脂を混合した素材で、適度な強度と柔軟性を持ちます。ただし、経年的に変色や摩耗が生じる可能性があります。
-
金属(メタルインレー)
強度が高く、耐久性に優れていますが、目立ちやすいため審美性を気にする方にとっては注意が必要です。金属アレルギーのリスクも考慮する必要があります。
■詰め物・被せ物の種類②アンレー(Onlay)
◎特徴と使用範囲
アンレーは、インレーよりも広範囲の欠損を修復する際に用いられる詰め物です。特に、歯の咬頭(噛む面の突起部分)を覆う必要がある場合に適用されます。これにより、噛む力を適切に分散し、歯の強度を維持します。
◎使用される素材
-
セラミック
審美性と耐久性を兼ね備えており、前歯や奥歯など、見た目と機能性が求められる部位に適しています。
-
ハイブリッドセラミック
適度な強度と柔軟性を持ちますが、長期間の使用で摩耗や変色が生じる可能性があります。
-
金属(メタルアンレー)
強度が高く、特に奥歯の修復に適していますが、審美性や金属アレルギーのリスクを考慮する必要があります。
■詰め物・被せ物の種類③クラウン(Crown)
◎特徴と使用範囲
クラウンは、歯全体を覆う被せ物で、大きなむし歯や歯の破折、根管治療後の歯など、広範囲の修復が必要な場合に使用されます。歯の形状や機能を回復し、強度を高める役割を果たします。
◎使用される素材
-
セラミック
審美性が高く、前歯など見た目が重要な部位に適しています。ただし、強い咬合力がかかる部位では破折のリスクがあるため、注意が必要です。
-
ジルコニア
高い強度と審美性を兼ね備え、奥歯など強い力がかかる部位にも適用可能です。金属を使用しないため、金属アレルギーの心配もありません。
-
メタルボンド
金属のフレームにセラミックを焼き付けたもので、強度と審美性を両立しています。しかし、歯肉が下がると金属部分が露出する可能性があるため、歯磨きやフロスなどを使用したセルフケアはきちんと行う必要があります。
-
ゴールド
適合性が高く、耐久性に優れていますが、審美性に欠けるため、主に奥歯に使用されます。 金属を使用しているため、金属アレルギーがある方は適応できない場合もあります。
【それぞれの歯に合った治療方法をご提案します】
インレー、アンレー、クラウンは、むし歯の進行度や欠損部分の大きさに応じて適切に選択されます。使用される素材も多様で、それぞれにメリットとデメリットがあります。治療を受ける際は、歯科医師と相談し、ご自身の状況や希望に合った適切な方法を選択することが重要です。